RisakoのCELTA取得の道 #2 -CELTAコースが始まるまで-
こんにちは、ELTインターンのRisakoです。前回の記事では、CELTAの概要や受講のきっかけ、受講コースの紹介をしました。続く第2回のこの記事では、CELTAに応募してからコースが始まるまでの流れについてお伝えしていきます!
(※私はイスタンブールにあるInternational Training Instituteにて、Online Part Timeという形式でCELTAを受講しました。形式や受講形態によっては詳細が異なるかもしれないことをご了承ください。)
CELTA連載の記事はこちら
RisakoのCELTA取得の道 #1 -受講の経緯・コース紹介-
RisakoのCELTA取得の道 #2 -CELTAコースが始まるまで- ⇐本記事
RisakoのCELTA取得の道 #3 -講義・ライブセッション-
RisakoのCELTA取得の道 #4 -教育実習-
RisakoのCELTA取得の道 #5 -ライティング課題・まとめ-
執筆:Risako Yamamoto
京都府出身。同志社高等学校を卒業し、在学中に一年間のカナダ留学を経験。この春に国際基督教大学(ICU)を、言語教育主専攻・教育学副専攻にて卒業。秋からロンドン大学院教育研究所・応用言語学部に進学予定。2019年よりタクトピア株式会社ELT(英語教育事業部)に所属し、現在インターンリーダーを務めている。IELTS 7.5取得。中学校/高等学校教諭一種免許状(英語)取得。
CELTAの受講資格を得るまで
受験資格取得のプロセスは、全体の流れとしては全世界共通です。内容についてはセンターごとにかなり違ってきますので、下記は一事例としてお読みいただければと思います。
第1の関門:応募(Application)
まず最初にすべきはApplicationです。Applicationはネット上で簡単に行うことができます。応募者の基礎的な情報や学習歴、これまでの教授経験を簡潔に回答していきます。加えて、ITI(International Training Institute、著者の利用したトルコのセンター)では、以下の二つの質問にも答えました。
・Why do you want to take this course? / なぜコースを受講したいのか?
・Describe a positive or negative learning experience you have had (minimum 250 words) / これまで受けた肯定的もしくは否定的な学習経験について述べる(最低250語)
特にひねった質問ではないので、心配することはないかと思います。因みに、一時期タイでの受講も視野に入れてApplication Formをダウンロードしてみたのですが、記入項目が異なっていたため、センター独自の質問項目が準備されているようです。
第2の関門:面接前課題(Pre-Interview Task)
Applicationを提出するとすぐにメールが届き、Pre-Interview Taskを行うことになります。この課題の一番の目的は、おそらくコース受講検討者がCELTA受講に必要な英語知識を持っているかを確かめることです。(とはいえ解答時間の制限はないため、例えば文法用語を英語で100%インプットできていなくとも、この時点では何とかなっちゃいます)
私が利用したテストセンターでは、
①品詞を答える選択問題
②文中下線部の時制を答える選択問題
③定義にふさわしい時制を穴埋めで解答する問題
④1250 characters以上で書くエッセイ問題(私の時は‟What do you consider to be the qualities of a good teacher and why? / 良い教師の持つ素質は何で、なぜそのように考えるのか?”でした)
があり、所要時間は1時間かからない程度でした。ここはセンターごとに内容も分量もまちまちなようで、もっともう少し頑張らないといけない場合はあるかもしれません(後々のことを考えると、良い勉強になるとは思います!(笑))。
第3の関門、もとい大ボス:面接(Interview)
いざ出陣、想定通りの進行。
ここまで進むと、最後に待ち構えているのが大ボス、Interviewです。CELTAに興味のある皆さんが一番関心のあるのも、このInterviewについてではないかと思います。第2の関門、Pre-Interview Taskを無事通過すると、カレンダーから日時を指定する形式でInterview開催を決めることができ、時間になると予約されたzoomに入室するだけという、非常に簡単な仕組みです。
面接当日、腹をくくって(でも恐る恐る)入室すると、早速一人のチューターが出迎えてくれました。とてもにこやかにハキハキと喋るチューターで、世間話をしているうちに少しずつドキドキが収まっていきました。まずは自身の教授経験(teaching experience)を聞かれ、簡単に説明しました。ここまでは想定通りです。よしよし。
え、ハサミ…?
ところが次の質問で不意をつかれ、私は完全に面食らってしまいました。続いた質問はこうでした。
‟How do you teach ‘scissors’ to a beginner adult student? / 大人初心者クラスの生徒にどのようにして‟scissors(ハサミ)”を教えますか?”
そう告げると、チューターはbeginner studentになりきり、私からの言葉を待ち始めました。皆さんだったらどのように答えるでしょうか?「やばい、なんとか説明しないと」と思った私は、できる限り簡単な英単語を使って伝えてみようとします。でもチューターの反応は‟I don’t know.”の一点張り。完全に冷静さを失ってパニックになりました。しばらく沈黙の時が流れ、ふと机の上のペン立てに刺さっていたはさみが目に入りました。 「もしかして」と思ってそれを‟生徒”に見せてみると、「ああー、scissorsね!」とやっと理解してもらうことができました。今から振り返るとそんなに難しい質問ではありません。しかし、なんせ面接だから言葉で答えなきゃという先入観でいっぱいだった私にとって、その方法は盲点だったのです。つまり、この面接は単に英語力や英語知識を試される場ではなく、「目前の生徒に合わせて時々に相応しい教授法の試行錯誤を重ね、”make the most of it(最善を尽くす)”精神」=「セルタイズム(CELTAism、筆者による造語)」を持ってコースを始めるための初めの一歩だったということに気づかされました。面接の場でありながらも、「セルタイズム」が良質な授業を作り、ひいてはハードなコースを生き抜く方法であると教えてもらったように私には感じられました。
何度も聞かれる「他には?」
そこから先に続いた質問でも、基本的にはシチュエーションごとに異なる学習者へどのように単語や文法項目を教えるかを問われました。単語・文法項目の意味・形式・発音(この三つを合わせてMFPと呼び、CELTAで欠かせない要素となります。詳しくは後日記載予定)を順番に聞かれるのですが、そこで重要だったのが、anticipated problem、つまり事前に予測される学習上の問題点の視点です。「学習者が起こし得るerrors(間違い)を教えて?」「他には?」と何度も追求されました。ここで大事だったのは、その時の自分のベストを尽くして答えることだったと思います。チューターもおそらく完璧な回答は求めていません。事実、分からない質問があり、正直に「分からない」と伝えると、「大丈夫、それを学ぶためにCELTAがあるんだから」と咎めることなく励ましてくれました。
そんなこんなで何とか面接を終え、有難いことに面接後数十分で受講許可のメールを頂くことができました。
コース開始までにすること
てんやわんやな受講料振込
コースの参加が決定すると、あとは定められた期日までに誓約書を書き(PDFで送られてくる書類にサインするだけ)、受講料の振込をするだけです。ところがこれがとても厄介でした。
センターが指定する振込情報によると、どうやらイギリスの銀行口座への送金が必要で、海外送金の手立てを整える必要がありました。締め切り日まであまり日がなく、持っていた日本の銀行口座から急いで海外送金の利用申込を始めたのですが、申請が許可されるまで意外と時間がかかるのです。何とか締め切り数日前に許可が下り、送金依頼ができるようになったと銀行に駆けこんだのですが、ここでまたトラブルが。取引先口座がなぜか特定できず、取引を行っても失敗に終わる可能性が高すぎるとして断られてしまいました。「そんなことってある?」ともう朝から大パニックです。すぐに別の銀行をはしごするも、期日までに送金が完了できるか分からないスケジュールで、泣きそうになりながらセンターにメールで事情を説明しました。
すると、「Risako、銀行なんて行かなくていいから。Wiseっていうサービスを使えばいいんだよ。」とメールが返ってきました。なんとオンラインで海外送金ができるこのサービスは、手続きが早くて便利な上に手数料も安い、優れものだったのです。
(…..なぜ今教えてくれる?)と返ってきた文面に今年一番のツッコミをしてしまいました。無事手続きが進み始めた頃は安堵の気持ちでいっぱいだったのですが、次第に銀行から銀行へ駆け回って途方に暮れる惨めな自分が走馬灯のように思い出され、(なんで最初っから教えてくれへんかってん!)という気持ちになりました。それはさておき、Wiseのサービスのお陰で何とか期日中に入金を終えることができました。同じように苦労される未来のCELTA受講生が少しでも減らせるよう、私のドタバタ劇の記録を残しておきます(笑)。
コースが一週間早く始まる!?
コースの受講手続きが完了した後、コース開始までにすることとして、Pre Course Taskというものがあります。事前にPDF形式のブックレットが配られ、自習をしながらコース開始に備えるというものです。このタスクには提出義務はなく、あくまで自分のためにあります。私はといえば、3月の中旬〜下旬にかけてリンガハッカーズのイングリッシュキャンプや大学の卒業式といったイベントが続いており、ちょうどそれらが一段落する時期から始まるコースに参加、という完璧な計画となっていました。CELTA Onlineで世界中のコースが受講できるようになったからこそ、日程選びも非常に柔軟だったわけです。だから私も自分のペースで少しずつ事前課題を進めていこうと思っていた矢先、一件のメールが届きました。
I hope this finds you well. This is an important notice about this upcoming CELTA Online course. Due to the religious public holiday here in May, we have decided to change the start of the online part of the course to March 21, one week earlier than planned. We apologize for the inconvenience. If you are unable to attend online starting on that date, please let me know and I can help you find another option.
要するに、コースを一週間早めて開始するというお知らせでした。このメールを受け取ったのが3月15日。コース開始予定が3月21日。私はイングリッシュキャンプの準備でバタバタしている最中。(…..なぜ今教えてくれる?)のツッコミ再びです。もちろん遠慮せずコースにフルコミットできないであろう予定を伝えて返ってきた返信がこちらです。
The first month of the course is mostly independent study, so you wouldn’t be missing anything.
<日本語訳>
りさこへ、
コースの最初の一ヶ月は基本的に自主学習だから、何も遅れを取ることにはならない。心配ないさ。
はい、何とも海外らしい楽観的な返事です。(因みにこの返事とは裏腹に、一週目からしっかりライブセッションも始まりました) そう直面する状況ではないと思いますが、日本では考えられないような急な変更が起こる可能性も考慮した上で、受講日程を決断されることを全力でおススメします!(笑)
さて、紆余曲折ありながら、いよいよコースが始まっていきます。次回は、コース内容の中から、講義とライブセッションについて詳しく共有していきます。お楽しみに!