RisakoのCELTA取得の道 #5 -ライティング課題・まとめ-

コラム
RisakoのCELTA取得の道 #5 -ライティング課題・まとめ-

こんにちは、ELTインターンのRisakoです。前回の記事では、CELTAコースの内容[①講義、②ライブセッション、③教育実習、④ライティング課題]から、③教育実習についてご紹介しました。最終回となる第5回の記事では、④ライティング課題とCELTAコースを終えた感想を共有します!

(※私はイスタンブールにあるInternational Training Instituteにて、Online Part Timeという形式でCELTAを受講しました。形式や受講形態によっては詳細が異なるかもしれないことをご了承ください。)

CELTA連載の記事はこちら
RisakoのCELTA取得の道 #1 -受講の経緯・コース紹介-
RisakoのCELTA取得の道 #2 -CELTAコースが始まるまで-
RisakoのCELTA取得の道 #3 -講義・ライブセッション-
RisakoのCELTA取得の道 #4 -教育実習-
RisakoのCELTA取得の道 #5 -ライティング課題・まとめ-  ⇐本記事

 


執筆:Risako Yamamoto

京都府出身。同志社高等学校を卒業し、在学中に一年間のカナダ留学を経験。この春に国際基督教大学(ICU)を、言語教育主専攻・教育学副専攻にて卒業。秋からロンドン大学院教育研究所・応用言語学部に進学予定。2019年よりタクトピア株式会社ELT(英語教育事業部)に所属し、現在インターンリーダーを務めている。IELTS 7.5取得。中学校/高等学校教諭一種免許状(英語)取得。


CELTAの裏ボス!?:④ライティング課題


CELTAにおけるボスが教育実習であるとすれば、その裏ボスにあたるのがこのライティング課題ではないかと思います。
講義・ライブセッションで学んだこと、そして教育実習で得たことを駆使しながら、コースの合間時間を縫って書き進めていきます。全4つのライティング課題があり、テーマは以下の通り。

#1: Focus on the Learner (実習での生徒一人の学習傾向や特性を観察・インタビューから分析し、効果的な学習を提案する)
#2: Language Related Task (指定されたリーディング教材に出てくる単語と文法を分析する)
#3: Skills Related Task (設定された架空のクラスのためのリーディング授業を計画する)
#4: Lessons from the Classroom (実習での学びを振り返る)

ライティング課題は最終の成績にも関わってくるため、Pass on 1st submission(1回目の提出で合格)・Pass on Resubmission(再提出で合格)・Fail(不合格)の三段階で評価されます。一課題につき指定字数が750~1000単語ということで、個人的にはそこまで苦労する量ではありませんでした。ただし、一つでも要件を満たせていなかったり、習ったことが活かせてなかったりすると容赦なく再提出となるため、抜かりなく内容を組み込む必要はありました。また、Full Time(月~金まで毎日を約4~5週間で行うコース。コース形態の詳細は第1回を参照)での受講となると、おおよそ1週間に1本のペースで、しかも実習準備の合間に完成させなければならないため、かなり追い込まれるかもしれません。

私はと言うと、#2で習ったこととの矛盾があったため再提出となった他、#3は再提出扱いにはならなかった反面、訂正版を提出しないと合格がもらえないという評価を受け取りました。#3については、最初のうち再提出が必要なことを知らず、チューターから「Risako、再提出してないからPassあげられないよ?」と脅され、本当に焦りました(笑)。ただ、それだけ真剣に課題と向き合うことで、習ったことをさらに深く理解に繋げ、それをアウトプットする力は確実に養われたと思います。

課題ごとに詳細なcriteria(評価基準)があり、それを全て満たすことで初めて合格できます。

 

ぶっちゃけCELTAってどうだった?


全ての課題に合格し、Progress Report(経過報告書)の記入を全て終え、数カ月にわたるコースが修了しました。なんとか終わりまで辿り着けた今、正直な感想を最後にお伝えできればと思います。私は英語教育に関わる一員としてCELTAを受講でき、心の底から良かったと思っています。この連載でも紹介してきた通り、CELTAは私にとって決して簡単なコースではなく、片手間では取得できない資格であることも十分理解できました。それでも、その困難を凌駕するだけの学びの種がCELTAにはありました。特に、

・質の高い英語教授法に関する知識のインプットおよびアウトプット
・豊富な授業実践の機会とフィードバック
・志高い世界中の受講生との学びの空間

は唯一無二の魅力で、そんな体験を経たからこそ、私も英語教師としての自分に多少なり自信を持てるようになりました。

 

CELTAの限界

とは言え、CELTAにもコースを通してできることの限界があります。幾つかある中で特にもどかしいと思ったことが、学習者の母語の使用(L1 Use: First Language Use)についてです。多くが多様なバックグラウンドの生徒が集まる語学センターで行われるというCELTAの特性上、授業内では英語のみが全生徒の理解できる共通言語となり、従ってオールイングリッシュの環境が必然的に生まれます。一方で、私の受講先であったイスタンブールのセンターでは、生徒全員がトルコ語を母語としていました。そうすると、折角共通の言語として英語・トルコ語の二種類が存在しているのに、無理やり全てを英語一言語に縛るという少々不自由な学習環境になりました。例えばPre-Intermediate(初中級)クラスを担当していた時、トルコ語に置き換えれば一瞬で伝わるであろう新出語彙を、彼らの理解できる範囲での英語を用いた言い方にした結果、その回りくどさが混乱をきたし、後になって生徒がトルコ語で確認し合うという二度手間になったことがありました(もう少し分かりやすい言い方が工夫できたのではという指摘はごもっともかもしれません)。言語を理解するために言語で苦戦するのは、想像以上にもどかしい限界でした。

英語学習におけるL1 Useの効果はこれまでずっと学術的に研究されてきた大きなテーマですが、とりわけ習熟度の低い学習者との意思疎通には母語使用が第二言語習得を促すという見解が多く存在しています。そのような知見に基づき、リンガハッカーズでも「母語は財産」を一つの柱とし、バイリンガルコーチ・メンターによる日本語使用可の授業を展開しています。

 

CELTAからの学びはこれからも続く

CELTAで感じた限界と向き合うためには、各人が実際に担当していく教育現場の状況や生徒の様子を分析し、それぞれに相応しい形でCELTAの学びを応用していくことが必要だと思います。そうした意味でCELTAからの学びは今もなお続いており、これから新たな発見がまた待ち構えているのではとワクワクしています。
最後に、あまりに有名かもしれませんが、私の大切にする教育学者・John Deweyの言葉を紹介します。

“If we teach today as we taught yesterday, we rob our children of tomorrow. / もし私たちが昨日と同じように今日も教えるならば、私たちは子どもたちの未来を奪っている。”

絶対的に正しい教え方の存在しない世界で教育に携わる身となるのであれば、常に自身が学び続け、時々の「ベスト」を求めて試行錯誤できる人でありたいと思っています。そのための大きな一歩としてCELTAを受講できたことを、とても幸せに思っています。

全5回にわたったこの連載が、少しでも未来のCELTA受講生の参考になると大変光栄です。そんな皆さんといつか日本の教育において一緒に面白いことのできる日を心待ちにしながら、私自身も私もますます精進していきます! ここまでお読みくださりありがとうございました!

 

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