RisakoのCELTA取得の道 #3 -講義・ライブセッション-

コラム
RisakoのCELTA取得の道 #3 -講義・ライブセッション-

こんにちは、ELTインターンのRisakoです。前回の記事では、CELTAの応募からコース開始までの実体験を紹介しました。そして皆さん、お待たせいたしました。第3回の記事では、CELTAコースの内容[①講義、②ライブセッション、③教育実習、④ライティング課題]のうち、①講義と②ライブセッションについてお伝えします!

(※私はイスタンブールにあるInternational Training Instituteにて、Online Part Timeという形式でCELTAを受講しました。形式や受講形態によっては詳細が異なるかもしれないことをご了承ください。)

CELTA連載の記事はこちら
RisakoのCELTA取得の道 #1 -受講の経緯・コース紹介-
RisakoのCELTA取得の道 #2 -CELTAコースが始まるまで-
RisakoのCELTA取得の道 #3 -講義・ライブセッション- ⇐本記事
RisakoのCELTA取得の道 #4 -教育実習-
RisakoのCELTA取得の道 #5 -ライティング課題・まとめ- 

 


執筆:Risako Yamamoto

京都府出身。同志社高等学校を卒業し、在学中に一年間のカナダ留学を経験。この春に国際基督教大学(ICU)を、言語教育主専攻・教育学副専攻にて卒業。秋からロンドン大学院教育研究所・応用言語学部に進学予定。2019年よりタクトピア株式会社ELT(英語教育事業部)に所属し、現在インターンリーダーを務めている。IELTS 7.5取得。中学校/高等学校教諭一種免許状(英語)取得。


CELTAコースの内容と評価


そもそもCELTAを受講し学習できる内容や得られる評価はどういったものなのでしょうか。まず、コースの構成は以下のように分けられています。

・30 course units, most with discussion forums / 30のコース単元の受講とディスカッションフォーラムへの投稿
・5 online video observations of experienced teachers / 経験を積んだ教師の授業観察(オンラインにある授業動画の視聴とレポート記入)
・3 hours (usually 2 x 90 minutes) observations of teaching practice tutors / 教育実習担当のチューターが行う授業(大抵2×90分)の観察
・6 hours (8 x 45 minutes) assessed teaching practice at 2 different levels / 2つの異なるレベルでの評価付き教育実習・(8×45分)
・4 written assignments / 4本のレポート課題
・7 live classes / 7回のライブ授業

簡単に整理すると、①講義(授業観察を含む)、②ライブセッション、③教育実習(授業観察を含む)、④ライティング課題、となります。これらは全てcompulsory = 必修であり、CELTAの資格を得るためには欠かせないと断言されています。しかし実際のところ、直接的な資格取得のための評価に繋がるのは、③教育実習と④ライティング課題の2つというのがCELTAの特徴です。そのため極論を言えば、③と④さえこなせばコースは終えられるのですが、①や②で学習した内容を活かさないと③や④に取り組めないことから、全てのコース内容が評価に繋がっているというわけです。

CELTAの理解はここから始まる:①講義


講義では、CELTAコースの根幹である知識や理論を学んでいきます。オンラインコースでは、コース開始後すぐにMoodle(eラーニングのための学習管理プラットフォーム/ソフトウェア)への招待メールが送られてきて、以降の学習は全てMoodle上で行うことになります。全30ある単元を自分の予定に合わせて進めていくとともに、講義内で用意されている特定の質問に対する答えをDiscussion Forumに投稿します。コースメイトとオンライン上で議論する機会もありました。センターの推定では、1単元を進めるのに約2~2.5時間かかるとされており、それを毎週約3~4単元のペースで学習していきます。私の場合、大学の授業でも常にMoodleを使って学んでいたため、個人的には大学5年の春学期を受けているような感覚になりました(笑)。

ブックマークに登録するとケンブリッジのロゴ(左から2つ目)が表示されるのがちょっぴりカッコよくてお気に入りでした(笑)


Pronunciation(発音)やGrammar(文法)から、Classroom Management(クラス運営)やLesson Planning(授業計画)といった単元まであり、英語教授法に関する知識やテクニックを網羅的に学ぶことができる設計になっています。大学で言語教育を専門としていた私の目線だと、分野の入門コースを、実践的な課題に取り組みながら受講していた感覚です。もちろんプロフェッショナルな資格なので、初めて言語教育を学ぶ人からすると濃密な情報量ではあるかもしれません。一方で、初学者にも伝わるようにと、専門用語には必ず平易な英語で定義が書かれていますし、数年前にさっぱり理解できず専門書と睨めっこしていた私に是非とも見せてあげたかったと思うほど、CELTAの説明は分かりやすく良心的だと感じました。そんな講義の中で特に印象に残っていることを、ここでは
3つ取り上げてみます。

 

まずはこれ、The Learner First

「学習者第一」これがUnit 1のタイトルでした。当たり前のことでありながら、ついつい実践では忘れられがちなこの考え方をどんな知識よりも先に共有するところから、私のCELTA愛はさらに増しました(笑)。CELTAでは一貫して学習者中心(student-centered)の学びを行うことが大前提となります。したがって、教育実習中でも、学習者中心のレッスンになっているかという点が厳しく確認されます。

ある時、チューターがこんな例え話をしてくれたことを鮮明に覚えています。

「もし、20人の生徒がいる学級で、40分間の英語の授業が週に10コマあり、授業中に先生が一度も発言せず、生徒が交代で発言できる奇跡のクラスがあったとして、一人の生徒の平均発言量はどれだけあると思う?」

皆さんにもぜひ計算してほしいのですが、一人当たり約20分というのが算出される数字です。一週間でたったの20分。しかも、こんなに英語のクラスが豊富で、学級人数も少なく、まして教師が一切発言しない授業など無いと考えると、どれだけ集団での主体的で実践的な英語教育が難しいかを突き付けられます。

発言機会が限られる集団授業の中で、学習者の主体性を最大限引き出すという観点から、このレッスンでは、学習者のモチベーション(motivation)を想像することに始まり、どうすれば生徒のレッスンに対する興味を惹きつけることができるのか(engagement)を考えていきました。この問いに答えるのは容易ではありませんが、例えば授業で扱うトピックを個人的な問題として考えてもらうこと(personalization)や、できる限り生徒同士がやり取りする時間(interaction)を増やすことが挙げられます。こうしたテクニックを駆使しながら学習者第一を実現していくことがCELTAの究極的なゴールであるというメッセージを、私は受け取りました。

 

それは本当にhesitation?

講義の中では、頻繁に生徒や教師へのインタビュー動画が挿し込まれています。恐らく多くがイギリスの語学学校で収録されたもので、その分生徒のバックグラウンドが多様だったことも、とても面白かったです。

ある時、More about the Learner(学習者についてより深く知る)という単元を学習していて、Evaluating Students(生徒を評価する)というタスクがありました。そこでは韓国出身の生徒が英語でインタビューに答えていて、その様子から生徒の英語学習に対する姿勢を評価する必要がありました。アジア出身の学習者ということで、何となくシンパシーを感じながらタスクに取り組んでいたのですが、答え合わせとして解答とコメントを確認した時、とても大きな違和感を感じたことを今でも鮮明に覚えています。解答によると、”He hesitates a lot. / 彼は(発言を)とても躊躇っている。” が彼の評価だったのですが、私には到底そんな風に見えなかったのです。確かにまだぎこちない様子もあったものの、彼はインタビュアーの問いに全力で答えているようでした。私の目線からすると、それは恐らくhesitation(躊躇い)ではなく、時々言葉が出てこないスピーキング力の欠如や、英語話者ほど間髪入れず話す傾向にない母国文化の影響ではないかと感じたのです。もちろん彼に直接聞いてみないことには、実際の正解は分かりません。ですが、この違和感が彼同様にアジア出身で英語を第二言語として学習してきた経験があるからこそ感じられたことは紛れもなく、言語学習という高いハードルに向かう学習者の気持ちや葛藤を想像し共感できるということが、教師としての私の一つの強みになり得ることを実感した出来事でした。

 

 

CELTAの鑑:②ライブセッション


ライブセッションは、1回90分前後のセッションが全7回Zoomで行われ、コースメイトとOCT(Online Course Tutor / オンラインコース・チューター)と共に学習を進めます。講義の中でも特に重要な単元について復習するなど、個別で取り組む講義の補足的役割を担っています。コースメイトとOCTの予定を考慮した上で、1つのセッションにつき2つの日程候補が提示され、都合の合う方に参加することになっていました。(この配慮のおかげで、基本的には深夜にセッションへ参加するといった地獄のスケジュールにはならず、とても感謝しています。)

ライブセッションを一言で表すならば、これこそ「CELTAの鑑」といったセッションです。チューターが教師、私たち受講生が生徒となるこのセッションでは、とにかく生徒同士のインタラクションが求められ、そのセッション自体がCELTAの理想を体現しているようでした(なので自分にとっての授業だからといって受け身の姿勢での参加が許されることはありません(笑))。そのため、セッションの内容から得られることがあったのはもちろん、自身が生徒としてチューターの授業を受けること自体から生まれる学びがありました。加えて、オンラインコースの生徒にとっては、このセッションがコースメイトと直接話せる貴重な時間でもありました。共に頑張るコースメイトと定期的に顔を合わせることができるこの時間は、自分にとって大きな励みになりました。

 

こうして振り返ってみると、CELTAの学びが本当に濃縮で、大変ながら充実した時間であったことを実感させられます。さて次回は、CELTAの目玉、③教育実習についてお伝えしていきます。お楽しみに!

 

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