なぜリンガハッカーズは英検準一級取得→IELTS受験の流れを勧めるのか?

中学生・高校生の英語学習に関する質問でよくあるのが、

「英語力を測るためにどの検定を受ければいいですか?」
「どの資格を目標に勉強していくのがいいですか?」

といったものです。

私たちリンガハッカーズ(以下リンガ)は、英語力を測定する試験としてIELTSを強く推していますが、英語学習者の方には、「まずは英検準1級を目指し、その後IELTSに挑戦しましょう」とお伝えしています。

※なぜIELTSを推しているかについては、こちらの記事に理由を説明しています
英検・TOEIC・TOEFL・IELTS　どれを受けるべき?歴史から紐解く各試験の特徴と勉強法

今回の記事では、「英検準1級→IELTS」の順番を勧める理由について、リンガハッカーズ開発・監修の嶋津に聞いていきます。

回答者:嶋津幸樹

山梨県生まれ。17歳の時に海外進学塾を創業。
青山学院大学文学部卒業、在籍中オックスフォード大学 ELT英語教員研修に最年少参加。
ケンブリッジ英語教員資格CELTA取得。ロンドン大学教育研究所応用言語学修士課程終了。タクトピア英語教育開発推進部長。
IELTS関連の著書として『IELTSライティング完全対策』『IELTS総合対策スピードマスター入門編(Jリサーチ出版)』『ビジュアルで覚えるIELTS基本ボキャブラリー(ジャパンタイムズ出版)』等

―単刀直入に聞きますが、「英検準1級→IELTS」の受験の流れを勧めているのはどうしてですか?

嶋津: 一言でいうと、IELTS6.5の取得を目指す場合に、英検準1級を取得してからIELTSを受けた方が、効率的だからだね。なんでIELTS6.5?ということについては、下記の記事を読んでもらえると理解してもらえるはず。
→IELTSのスコア、どれだけ取ったらいいの?IELTSエキスパートに聞いてみた。

―IELTSのスコアを目標にしているなら、IELTSの勉強を早く始めた方が効率的な気がするんですが、そうではないんですか?

嶋津: それは違うね。言語学習において、”input hypothesis(インプット仮説)”という考え方があって、学習者の現在の言語レベルよりも「少しだけ高いレベルのインプット」が効果的だと言われているんだよね。要は難しすぎても簡単すぎても非効率だということ。

例えばIELTS6.5を目指す人に教材としてBBCの記事や動画を勧めるんだけど、これで効率よく学べるのが英検準1級レベル。英検2級レベルの人だと、ちょっと難しすぎる印象がある。BBCに限らず、世の中にあるESL(English as a second language = 第二言語としての英語)向けの教材は、英検準1級レベルがある方が学びが多いし、効果的に使える教材の数も変わってくるね。

―なるほど。英検準1級といっても、合格点ギリギリから余裕の合格まであると思うんですが、英検準1級に合格したらすぐにIELTSの勉強を始めていいですか?

嶋津: それはOK。語彙力の目安としては、英検2級の単語が完璧になったらIELTSに進んでもいいと思う。英検準1級に合格していれば、2級の単語はほぼ分かっているはずで、逆に2級合格時点では2級の単語が完璧になっていることは少ないから、IELTSの学習はまだ早いね。

それから、英検で出題されるリーディングの文章は、学習教材としての質も高いから積極的に使っていった方がいい。級で分かれているから「少しだけ高いレベルのインプット」もやりやすいしね。

―英検準1級を取得したら、今度は英検1級を目指したくなるんですが、そこはIELTSを目指した方がいいですか?

嶋津: 目指したい気持ちを止めることはしないけれども、海外留学・海外進学や仕事での活用を考えているならIELTSを受けた方がいいね。

英検準1級のレベルであればIELTS5.5~6.0くらいのスコアを取れることが多い。けれども英検1級はかなりマニアックな領域で、IELTS6.5を持っている人が英検1級取れるかと言うとそうでもないし、逆も然りで英検1級持っていればIELTS6.5取れるかというと、そうでもないんだよね。

それに、IELTSが優れているのは、現状の英語力が適切に分かることなんだよね。

これは自分がIELTSを推すきっかけになった出来事なんだけど、英検準1級・2級の教え子7,8人でIELTSを受験したことがあったんだよね。結果は、全員5.0〜6.0の間だったんだけど、名前を見なくても、結果を見ただけで誰のスコアか一目瞭然で。自分の教え子だから、彼らの英語力は詳細に把握しているんだけど、それをIELTSは的確に測定していて、それはもう衝撃的だった。

だから、自分の英語力を適切に把握したり、弱点を知って対策したりするためにも、IELTSは最適な試験だから受けた方がいいし、そのためにまずは英検準1級を目指そうってこと。

―上手くまとめましたね!　英検とIELTSの使い分け方、よく分かりました!