『アジアNo.1英語教師の超勉強法』著者インタビュー

コラム
『アジアNo.1英語教師の超勉強法』著者インタビュー

タクトピアの英語教育エキスパート・嶋津幸樹が執筆した『アジアNo.1英語教師の超勉強法(DHC出版)』が2020年6月22日に発売となります。今まで英語の教本を多く出してきた嶋津が、初の一般書として彼自身の人生ストーリーと学習法をまとめた注目の書籍です。本に書かれていない舞台裏も含めた話をリンガスタッフとして新しくジョインした濵野瑠美佳がインタビューしました。

嶋津さん、今日はよろしくお願いします。前著IELTSスピーキング完全対策(DHC出版)』が3月に出たばかりですが、矢継ぎ早の新著となりましたね。30歳にして8冊目とお聞きしましたが、完全に生き急いでいますね(笑)。初めての一般書ということで、これまでなかなか聴くことのできなかった嶋津さんの人生ストーリーが本書で語られているわけなんですが、なぜこのタイミングでの出版となったのでしょう?

以前よりお付き合いのある編集者の方が、メンタリストのDaiGoさんと堀江貴文(ホリエモン)さんの英語の本を出版されまして。社会的にもますます英語を学ぶことの関心が高まっているなかで、僕自身が英語を学び始めたきっかけや、英語を極めようとして直面した苦労や、そのなかで編み出した学習法などを語って欲しいと依頼を受けたのがきっかけです。

嶋津さんって、プロフィールだけ見るとエリート街道まっしぐらなイメージがあるじゃないですか。17歳で起業とか、オックスフォード大学院とロンドン大学院のダブル合格とか、今回の本のタイトルにもなっている「アジアNo.1英語教師」とか。でも社内で雑談しているときに実際に話を聞くと、冗談みたいな壮絶な苦労話のほうが多いですよね。実際どう思ってるんですか?

本当に「アジアNo.1英語教師」は恥ずかしいというか、恐れ多いです。日本を含め、アジア各国に素晴らしい先生がたくさんいらっしゃいますから。ぜひ皆さんに Pearson ELT Teacher Award に応募してもらいたいと思います。苦労と挫折は実際多かったですし、これからももっともっと苦労すると思います。英語をマスターするというゴールは永遠に訪れないと思いますし(笑)。筋トレと同じなんですよ。仮に、いま全然筋肉のない人がボディビルダーになろうとしたら、相当なトレーニングが必要だっていうのは想像できるじゃないですか。

単純に筋肉を維持するだけでも、日々のトレーニングが必要ですしね。

そうです。そんな楽な方法はないんですよ。でも、別に僕みたいな苦労を読者の人に味わって欲しいと思っているわけではないですよ。楽しく学ぶ工夫はできると思っているんです。そのために英語学習に命をかけて試行錯誤をしてきましたし、これからもやっていきます。オンラインの提供を始めてから受講生が倍増中の LinguaHackers(リンガハッカーズ)は、その最新の工夫をすべて注ぎ込んで日々開発しています。

なるほど。話を今回の本の中身のほうに移していきたいんですが、どんなメッセージを込めて書いたんでしょうか?

1つは、今お話したとおり「楽しく英語を身に付けるための学習法」についてです。今回の本では、僕の人生ストーリーと併せて、模試で偏差値80を取ったり、IELTSで8.0を達成したりしてきたなかで編み出してきたさまざまな学習方法を紹介しています。特別な道具や環境がなくても「マインドセット」「インプット」「アウトプット」を上手く活用することで実現できる方法をたくさん収録したので、「英語のスコアをぐんと伸ばせる必殺技が手に入る!」とワクワク感をもって読んでいただきたいですね。

2つめは、「日本と世界はこんなに違うんだよ」ということですね。よく言われるような「日本はこんなにダメだ」という自虐的な話ではなく、単純に日本という枠組みのなかだけで生きていると、世界の大きな流れとか、当たり前に存在する異なる考え方に触れることなく人生が終わってしまうよ、という危機感の共有をしたかったのです。自分たちの想像力の外側に世界が広がっていて、激動しているわけです。その様子とか、襲いかかってくるかもしれない影響とかについて全く無自覚のまま平和に人生を終えられる時代じゃないと思うんですよ。僕の場合は、たまたまそれがオーストラリアでのホームステイだったり、オックスフォードだったりしたわけなんですけど、どんな分野でも文脈でもいいから、自分の知らない「世界」に触れて強烈な原体験を得て欲しいと思っています。

3つめは、「原体験を得ることで人生がこんなに変わる」ということです。僕の場合はそれが英語学習だったんですね。ホームステイでの英語の体験があまりに悔しくて、帰国後に英検2級を持っているというだけで後輩たちに英語を教えはじめたわけです。そうしたら何と自分の成績が抜群に伸びたという衝撃の体験が待っていたのです。不思議に思って教育理論を調べたら、実は「学習効果が最も高いアクションは『人に教えること』である」という理論がすでに証明されていることを知って…と、そこからはジェットコースターのようなストーリーの展開になりました。そこからタクトピアへの参画、 Pearson ELT Teacher Award の受賞にまで繋がって、NHKなどのメディアにも取材いただいている現状に繋がっているわけですから、本当に感慨深いものがあります。もちろん、これは僕自身のストーリーなので、読者の方々には何か興味のある分野とか、小さな好奇心にも従って行動してみてほしいと思います。どんな小さなきっかけからでも、世界に挑戦するストーリーは始まると信じています。

なるほど、嶋津さん自身の経験から生まれた濃いメッセージがぎっしり詰まっているわけですね。ある意味、この本で嶋津さんの半生が振り返られたと思うのですが、これからの話も伺いたいです。いち教育者として、どのような学びや原体験を実現していきたいと思っていますか?

3月以来、ハイブリッド型の英語学習プログラムLinguaHackers(リンガハッカーズ)の提供をすべてオンラインにシフトしたんですね。もともとはオフライン(対面型)の代替として、緊急避難的に実施してみたのですが、実はオンライン化によって得られるメリットの大きさに驚いています。これが英語学習、ひいてはタクトピアの掲げるグローカルリーダー育成の最適解だと信じています。

ちょっと具体的に説明すると、オンライン化によって全国の教室への移動時間が不要になりました。その時間を使って、プログラムの一環として新たに始めたのが LinguaLive(リンガライブ)というライブ授業配信です。僕が毎週2時間、大勢の視聴者の方に向けて英単語の歴史や時事問題などの面白いテーマで授業をするんですね。世界各地からゲストをお呼びしたりもします。視聴者の方々もオンラインで参加するので気軽ですし、毎回多くの方に来ていただけるのが最高にエキサイティングです。

また、オフラインのほうが原体験を生むのに向いているのでは、と思われる方もいらっしゃると思いますが、オンラインならではの原体験づくりも可能であることが分かってきました。たとえば、毎回の同じ授業に東北地方と九州地方の生徒さんが同時に参加し、英語で議論したりできるのはオンラインならではの特長です。英語を学ぶという環境を通して、日本のなかでも異なる視点・異なる考え方に触れられるんですね。これが限られた日数で行われるのではなく、継続的に何年も、コミュニティとして育っていく環境は僕が考えている理想形に近いです。

オンラインで、しかも英語で意見表明や議論をおこなうと聞くと難しいイメージがあるかもしれませんが、僕が塾経営やCELTA(世界基準の英語教員資格)の勉強を通して学んできた生徒を主人公にするファシリテーションのノウハウを活かすことで、生徒さんは驚くほど積極的に英語を話しています。さらに、実はオンライン環境で英語を使いながら人との信頼関係を築き、意見表明や議論ができるということは、コロナ時代においては「自宅からでも世界の人々を相手に仕事ができる」という巨大なアドバンテージを手に入れることにもなるのです。

ありがとうございます。ちなみにLinguaHackers(リンガハッカーズ)の開発や運営もあるなかで、急ピッチで出版の準備が進んだと思うのですが、大変でしたか?

もう、本当に大変でした。通常の業務が終わってから、深夜とか週末に時間を見つけては部屋に引きこもって書いていました。また、僕は日本語のライティングが苦手で。原稿を社内に共有したときに、他のメンバーが寄ってたかって僕の言葉遣いを直してくれるのはとても有り難かったです。日本語も勉強ももっとしていきたいですね。あと、この執筆に集中しすぎてオフィスの机の上を散らかしまくったりと、社内にもたくさん迷惑をかけちゃったと思うんですが、辛抱強くサポートしてくれて感謝の限りです。

実は、出版直前になってもギリギリまで内容を良くしたいと思って出版社さんと相談して、「学びの場の未来予想図」や、NPO法人e-Educationの創業者・税所くん(アツ)や、映画にもなった「ビリギャル」の主人公・小林さやかさんとの鼎談なんかも盛り込ませていただきました。学びの場って、これからますます「人間本来の好奇心・探究心」に寄り添った設計になっていくと思っています。僕が想像するのは、テクノロジーと自然が融合した図書館の進化系のようなものですね。コロナウィルスの影響もあって、学びに求められる機能や環境が急ピッチで見直されている今だからこそ、英語に限らない未来のためのリーダーシップに寄与する大きな絵を描いていきたいなと思いました。鼎談については、お話しさせていただいた二人は同世代でもあり、それぞれユニークな挑戦を続けている尊敬できる仲間です。教育分野の改革って、敵はいないと思うんですよ。あえて言えば、「このままでもいいじゃん」と安住しそうになる、自分たちのなかにある心持ちが敵というか。みんなで力を合わせて、この激動の時代のための新しい学びを創っていこうぜという、小さくとも確かな手触り感のある叫びを上げられたかなと思っています。

盛りだくさんな内容、とても楽しみです!それでは最後に、読んでくださる皆さんへのメッセージをお願いいたします。

この本のタイトルには「勉強法」とありますが、英語を勉強することだけが大切なのではなく、英語を使って自分の好きなこと得意なことを見つけて社会に貢献すること、英語を使って自分の人生を切り拓いていくことが最も大切だと信じています。実は世の中には想像もしたことのないような世界があり、魅力的な人々がいて、自分でも予想していなかった強みが見出だせたり成長を遂げる可能性が待っていることを知ってもらいたいです。

英語と情報と少しの勇気があれば誰にでも世界に飛び込めるチャンスがあると思っています。この本が、日本と世界のギャップを知り、理想の学びを再検討するきっかけとなり、挑戦したい気持ちがある若者や学生の背中を後押しできる1冊になることを切に願っています。また子どもを持つ保護者さんや教育関係者の皆さんにも是非手にとっていただき、今後の学びのあり方を考える一助となれば幸いです。

嶋津さん、本日はありがとうございました!

 

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