悩める母に送る「うちの子はいつ英語始めればいいの?」

コラム
悩める母に送る「うちの子はいつ英語始めればいいの?」

タクトピアの英語教育エキスパート・嶋津幸樹はこれまで数多くの英語プログラムを全国各地で開催し、生徒たちに刺激を与えてきました。嶋津のプログラムに参加したことにより、英語力が飛躍的に伸びた生徒たちは数知れず。そんな嶋津が、子供の英語教育について悩むご両親の質問にお答えします。


こんにちは、嶋津です。
今日は皆さんからよくいただく質問にお答えしたいと思います。
日本では早期英語教育が始まり、小学校5年生から英語が始まっています。

制度がスタートしているものの、
-いつ英語を始めればいいの?
-何をすればいいの?
-どの程度の英語を学ぶの?

などなど…..子供を持つ保護者様から不安の声や相談をよく聞きます。
そこで今日は第二言語習得理論の最前線ではどうなっているのか、僕の知見と最新の研究を交えてお話しします。

臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)

言語習得理論の研究分野の中に「臨界期仮説」という考えがあります。
1960年頃に提唱された「ある一定の期間を過ぎると言語習得が困難になる」という仮説です。その仮説によれば、人は大体12歳くらいまでに第二言語を学び始めればネイティブらしく話せるようになるということ。

ちなみに僕は英語学習を13歳から始めたゆとり世代です。つまり、この仮説が正しいとすれば僕はネイティブのような英語は身につけられないということです。

しかし、この曖昧な適齢期曖昧なネイティブらしさはここ50年近く(なんと1970年代から)変わらぬ手法で臨界期仮説を証明するための実験が行われていますが、未だはっきりとしていません。そして今後も証明されることは難しいでしょう。

結論から申し上げます。外国語を学ぶのは早ければ早いほど効果的ではありますが、大切なのはいつ始めるかではなく、集中的に意味のあるインタラクションが起こる環境に身を置くことです。

もっと簡単に言いますね。
お母さんと赤ちゃんの対話をイメージしてみてください。

この関係が、意味のあるインタラクションです。
人間の言語習得の根本には、お母さんが赤ちゃんに話しかけるインタラクション(対話)があるのです。

無意味な言語習得方法には、質と量の問題が存在します。
早い段階から英語を始めても無意味なインプットや感情のないインタラクションであれば言語の習得は起きません。これは質の問題です。

また頻度の問題もあります。週に1〜2回のインプットではアウトプットのために必要な大量のインプットになりません。これは量の問題です。

質と量のバランスを考え、意味のあるインタラクションが起こる環境をできるだけ早い段階で提供することを心がけてください。第二言語習得でもっとも大切なのは大量の「インプット(聞くこと読むこと)」と意味のある「インタラクション(相互作用=対話)」です。この繰り返しが「アウトプット(話すこと書くこと)」に繋がります。

ネイティブらしさとは?

まず子供にどの程度英語が話せるようになって欲しいのか?ご自身の中ではっきりしているでしょうか?

現在は「英語は通じればいい」という風潮が世界的にあります。つまり(発音が悪くても)コミュニケーションが取れれば十分ということ。誰もがみんなネイティブのように英語を話せなくてもいい!という考えです。

さあ皆さんはどうお考えでしょう?

例えば、日本でコンビニの店員として働くときにネイティブレベルの英語レベル力がなければ仕事が務まらないということはないでしょう。身近なアルバイトや職業で具体的な必要性が感じられないと、この風潮に同意しがちなのは仕方がないともいえます。

ところが他国ではどうでしょう?

英語を学ぶ目的として「外国人の友達をつくりたい!」という方も多いと思いますが、ネイティブの友人を作る上でも、誤った発音の英語は障害となります。(経験談です!)
本音で(いわゆる腹を割って)話せる関係になるまでに、発音の正確さは本当に必要ないでしょうか?

海外大学で議論をするときに、「通じれば良い」とされる発音で戦っても、残念ながらその英語は通用しません。もちろん内容がしっかりとしていれば評価はされますが、発音が悪いことは決して良い印象を相手に与えません。

英語を教える立場としても、やはり「指導者が本物の英語を教えること、子供がそれを身に付けること」は世界で活躍する上で有利になるということを強調しておきます。

では、子供が本物の英語(ネイティブらしさ)を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか?

「ネイティブらしさ」は3つのカテゴリーに分類できます。

ネイティブのような発音(音韻能力)
ネイティブの文章を組み立てるための文法(統語的能力)
ネイティブのような語彙の豊富さ(語彙知識)

実はそれぞれに臨界期が存在すると言われています。この中でもっとも習得が困難と言われているのが「ネイティブのような発音」です。

この能力が身につきやすいのは6歳から12歳と言われています。他の技能は15歳までに始めれば身につくと言う学者もいます。これに関しては13歳から始めた学習者の一人として同感です。どんなに努力してもネイティブのような英語を話すこと(母国語と同レベルに操ること)は極めて困難です。日本語特有の発音がどうしても邪魔をしてしまいます。

ところが、この「始める」という定義も難しいのです。

「週一回ネイティブスピーカーとお遊びレベルで話すことが英語学習を始めると言えるのか?英語の速聴教材を12歳から始めるのは英語を始めることになるのか?」といった疑問もあれば、「12歳から海外に住み始めて英語を浴びることになったら、日本での「始める」とは比べものにならないのではないか?」といった指摘もあります。

ただ単に英語に触れるだけではいけません。

ここで、お母さんが赤ちゃんに話しかける意味のあるインタラクション(対話)が言語習得の根本にあることを思い出して下さい。

大事なのは、分からないこともインプットすることです。幼少期に劇的に語学を身につけられるのはこの「わからなくてもいいから聞き続ける」状況下にいる時間が長いからなのです。学校に上がると、英語嫌いを減らすために、「難しいことは教えない」、「難しい言葉は使わない」という風習があります。教科書にも習っていない文法や語彙は先走って出てくることはまずありません。

日本の英語教育はこの大量のインプット意味のあるインタラクションを教育として提供することが使命なのです。
英語教育改革が行われていますが、現場変革がいつ来るのかわかりません。

そこで語学力を飛躍させる実践例をあげてみます。
個人差がありますので、絶対正解はありませんが、お子様の興味をもった方法で是非チャレンジしてみてください!

実践例

・イマージョン環境
一番理想的なのは認知的な発達が顕著となる小学校1年生の前から、外国語を浴びる環境(イマージョン)に入れてあげることです。イマージョン環境に置かれることで量は確保できます。日本には素晴らしいイマージョン教育を実践する学校が幾つかあります。

*イマージョン教育:通常の授業を第2言語(日本であれば、英語などの外国語)で教えることよって、第2言語を修得させる教育プログラム。すべての授業を第2言語に「浸す」(immerse)ということからつけられた呼称。第2言語が英語の場合は英語イマージョン教育という。

参考:https://kotobank.jp/word/イマージョンプログラム-182865
群馬国際アカデミー(http://www.gka.ed.jp)
加藤学園(http://www.katoh-net.ac.jp)

もちろん質においても、教育内容により確保されることはありますが、集団授業では意味あるインタラクションは限られています。そこで次に紹介するのが、そのイマージョン環境で得たインプットを飛躍させるイベントです。

・イベントへの参加

サマーキャンプや短期留学などは、語学に対する意識変革を子供に経験させることができます。プロジェクト型の合宿や留学はタスク(英語を使って何を行うか)が明確に設定されているため、そのプロジェクト自体が意味のあるインタラクションを生みます。多種多様な人の話を聞き、自分の意見を自由に表現出来る環境がイベントには用意されています。

弊社主催の白熱イングリッシュキャンプの様子

ご紹介した上記2つ(イマージョン教育やイベント参加)はどうしても大なり小なり費用がかかってしまいます。そこで、お金をかけなくても自宅でできる英語学習法を紹介します。

・本物の動画を見る

本物の動画=ネイティブが視聴する動画。

ICT技術が発展した現代では、これまで先生からしか学べなかったことがネット上に溢れています。YouTubeは英語教材の宝庫です。子供向けの歌から大学受験用の動画まで無料で視聴することができます。子供が興味を持った分野から簡単な英語の動画を探し、一緒に見る時間を作ること。そしてその内容に関してどう考えるのかということを、日本語でもいいので話し合うことが大切です。インプットが増えてくるにつれて徐々にアウトプットに変化していきます。

幼少期からの意味のあるインタラクションが将来の子供の成長を司るかもしれません。

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