大人気メンターSamuelはどうやって生徒の心を掴むのか? 〜リンガハッカーズメンター紹介〜
リンガハッカーズ(以下リンガ)になくてはならない大事な要素の一つが、グローカルメンター(以下メンター)の存在。
ちょっと年上のお兄さん、お姉さんであるメンターたちは、英語を教えてくれたり、進路相談に乗ってくれたり、生徒を優しくサポートする心強い存在です。
そんなメンターたちは、いつから英語を学びはじめたのでしょう? どんな思いを持ってリンガに関わっているのでしょう?「リンガハッカーズメンター紹介」と題して、各メンターにインタビューし、詳しく話を聞いていきたいと思います!
今回インタビューしたのは、Samuel Oliverさん。
インタビュアーは、同じくメンターのNagisaです!
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インタビュアー:Nagisa
山梨県甲府市出身。幼少期を富士吉田市で過ごしたため、富士山はソウルメイト。
山梨学院高等学校を卒業し、現在は青山学院大学で英米文学を学習中。
日本神話が好きで、暇な時間があれば古事記を読んでいる。趣味は神社巡りと刺繍をすること。
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自分は何を学びたい? やりたいことってなんだろう?
Nagisa:Samuelさんは私がリンガの生徒だったころから人気メンターで、私も毎回の授業をとても楽しみにしていました! そんなSamuelさんは、大学ではどのようなことを勉強されているのですか?
Samuel:僕は今、秋田県にある国際教養大学というリベラルアーツの大学に通っています。リベラルアーツって何? と思う人もいると思うんですが、いろいろな分野の教養から考え方や視点を得て、世界をより多面的に見られるようにする学問だと僕は思っています。
専攻はグローバル・スタディーズコースです。国際政治とか、サステナビリティ(社会の持続可能性)などを学ぶ学問分野です。
Nagisa:具体的にはどのような授業があるのでしょうか?
Samuel:これまで受けた中で1番好きだった授業に、ビジュアル・ポリティクスというものがあります。この授業では、秋田県をさまざまな視点、例えば少数民族の視点、障害者の視点、教育の視点などから見て、グループごとにドキュメンタリーを作りました。
僕のグループは教育がテーマで、道徳に着目して調査を進めました。というのも、「日本の道徳教育はとてもユニークだ」と、グループメンバーである留学生が言っていたからです。実際に秋田県の小学校の道徳の授業に密着取材させてもらったり、道徳と剣道に共通するものがあるのではないかと考えて、地元の剣道クラブを撮影させてもらったりもしました。最終的にはそれらをまとめたドキュメンタリーを作成しました。
Nagisa:とても面白い授業ですね! 国際教養大学は留学生がとても多く、教員も約半数が外国籍だとして有名ですよね。Samuelさんはなぜ国際教養大学を受験しようと思ったのでしょうか?
Samuel:家庭環境上、英語についてはアドバンテージがありました。僕は鹿児島県で生まれ育ったのですが、父親との日常会話は英語だったので、自分の英語レベルには結構自信があったし、テストも余裕でした。鹿児島には僕みたいなハーフの人間はほとんどいなかったので、神童として扱われていました(笑)
ただ進路を考えた時に、これといった興味分野がなくて「自分は何がしたいんだろう」って思っていました。でも、これは教育のせいにしちゃいますけど、日本の高校生は3年生までずっと決められた教科の勉強をやらされ続けてきたわけです。それなのに、高校3年生になった瞬間に、「はい好きな分野の大学行ってね」って言われるんですよ。「は!?!?」ってなりませんか? なりますよね。
そんな時に、担任の先生が秋田出身の方で、クラスで一番頭のいい女の子にAIUを紹介していたのをたまたま見かけたんです。英語に重点が置かれていて、リベラルアーツで幅広い分野の学問を学べる大学って、「え、それ僕のための大学じゃね?」って思いました。担任の先生、おかしいですよね。なんで彼女には紹介して僕に紹介してくれなかったんですかね!? そんなきっかけがあってAIUを知り、進学することに決めました。
ポジティブフィードバックを忘れずに
Nagisa:Samuelさんは3年ほどリンガハッカーズで働かれていますよね。リンガの教材開発にも関わってこられたかと思いますが、その中で意識していたことはありますか?
Samuel:僕は「エンタメ」の要素を一番大切にしていました。僕も日本の学校で英語教育を受けてきたのでわかるのですが、教科書や単語帳の例文ってすごく真面目なものが多いですよね。正直に言っちゃうと、非常につまらない。僕はもう少し面白いものがあってもいいんじゃないか、ってずっと思っていたんです。だからこそ、作成に携わった英単語リストや単語解説動画(注:現在はありません)などではジョークを交えたものや有名な歌なども入れ込み、面白さを追求していました。
Nagisa:そうなんですね! それでは、授業を進めるメンターとして心がけていたことはありますか?
Samuel: ‟Don’t be afraid of making mistakes. (失敗を恐れるな)”っていうフレーズがありますよね。 僕はこの言葉って、問題を単純にしすぎだと思うんです。英語に対して恐怖心や不安を持っているからこのフレーズを使うわけですが、これを言われただけで怖くなくなるわけがないですよね?
なので僕は、ポジティブフィードバックをするように心がけています。どのような回答が来ても「いいね!」「すごい!」とポジティブに返答し、もし文法などで直すべきところがあったならば「考え方がとてもいいし、通じているよ! ただ、もう少しレベルアップさせるなら、こういう言い方もできるかもね」という感じで他の表現を伝えます。
Nagisa:私も生徒だった時にすごく褒められたことを思い出しました。中高生になると日常生活で褒められることは少なくて、「もっとできたよね」なんて言われる中で、リンガは授業のたびにモチベーションが上がっていました。
Samuel:そうなんです。僕自身はいま第三言語として韓国語を勉強中で、韓国語で意見を発表するときに先生からもらったら嬉しい言葉ってなんだろう? と考えて、生徒にも声を掛けるようにしています。
そもそも、英語で自分の思ったことを話しているだけでめちゃくちゃすごいんです! だからそのすごさを素直に伝えているという意識です。僕は「当たり前のことを当たり前に」という言葉が世界一嫌いなんです。例えば、学校に朝早く行って夕方まで授業を受けることって、なんで当たり前にできると思われているのかが非常に疑問で。好きではない科目のつまらない話をずっと座って聞かなければいけないこともあるわけで、すごく努力が必要なことだと思うんですよ。
そう考えると、英語を身につけることはさらにもっとすごいことで、少しでも話せたらもうすばらしいことなんです。
学校生活や受験勉強では、もっと上を! となりがちですが、僕は、そういうときに「ちょっと! ちょっと待って! 一旦立ち止まって、自分が今やったことを一回見てみよう! それ、すごくない?」と言いたいんです。生徒のみんなに、自分のしたことを客観的に見て「自分はすごい!」と感じてもらいたいんです。だからこそ、生徒へのポジティブフィードバックを意識的に行うようにしています。
Nagisa:そう言ってもらえたら生徒は本当にうれしいと思います!
他には、生徒が好きなことを把握して、授業中にチャンスを見つけてその話題を放り込むことも意識していました。これはつまり、生徒に「僕はあなたのこと知ってるからね!」というメッセージを伝えることなんです。
そうすると、みんなの授業に臨む姿勢が大きく変わることがあります。僕自身も少し年上のお兄ちゃんやお姉ちゃんに、「サミュエルこれが好きなんだよね!」などと言われてすごく嬉しかったことを覚えています。なので、みんなの好き嫌いを把握して授業中に話してみる、ということを積極的にしていました。
英語学習への頑張りは絶対に無駄にならない
Nagisa:最後に、英語学習を頑張りたい中高生へメッセージをお願いします!
Samuel:僕は英語に限らず日本語以外の言語を勉強することがとても大切だと考えています。僕はいま手話を勉強しているのですが、数億人もの話者がいる英語と比べると、話者人口はずっと少ない言語です。世界に目を向けてみると、さらにその言語を使っている人が少ないものもあります。僕はそのような言語を学ぶこともとても面白いと思います。
言語を学ぶことで、その言語を使っている人たちの歴史や文化から、物事の考え方まで知ることができるようになります。そしてそれは、社会で生きていく中で相手の気持ちになって考える力にもつながっていくと思います。
将来の日本には、確実に外国の方々が増えると考えています。そのような社会になった時に、英語を少し覚えているだけでより良い関係性が築けるはずです。その人たちに寄り添えるだけでなくて、気持ちよく働けたり、友達になれたりすることもあるかと思います。なので、みなさんの英語学習への頑張りは絶対に無駄になることはないと思っています。
ありがとうございました!